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ジリリリリリ… 目覚まし時計の音が今まで静かだった部屋に響き渡る。 しばらくして、また部屋に静けさが戻る。 目指し時計を止めたのだ。 静かになった部屋に今度は、夜が明けた事を知らせるかのように鳥の囀り(さえずり)が広がる。 その声を聞いて目覚し時計を止めた主がベッドで気怠そうに起きあがる。 「あ~~~」 大きな欠伸をしている少女の名は、高橋葵、高校2年生である。 ベッドから立ち上がり、窓を開ける。 「今日も良い天気っ」 と満面の笑顔。 窓を開け朝の空気を部屋に入れるのが毎朝の日課。 「でもまだ寒い~」 季節は春、まだ朝の空気は冷たい、4月のはじめ。 しばらく窓を開けていたが、肌寒さに耐えられなくなった葵は、窓を閉めた。 閉めたと同時に階下から声がする。 「葵~、雫~、起きなさいよ~」 母、真知子である。 (もう起きてるのにな…) 少し膨れっ面になりながらも、明るく、少し大きな声で返事をする。 「起きてるよ~」
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