1.

4/14

127人が本棚に入れています
本棚に追加
/337ページ
姉が寝ぼけ眼で部屋から出てきた。 「お姉ちゃん、おはよう」 「おはよう…」 姉は、元気のない返事をして、まだ夢の中にいるかのような顔をしてる。 「綺麗なお姉ちゃんが台無しだよ」 顔をまじまじと見ながら言うと、 「大きなお世話」 この会話も日常茶飯事である。 姉は目鼻立ちがハッキリしていて、綺麗な顔立ちである。 でも、朝が弱いこともあって、朝の顔は酷い。 それでも綺麗な事には違わないのだけど。 階段を二人で降りてると、 「葵こそ今年17になるんだし化粧ぐらいしなよ。モテないよ」 と姉が頬を人差し指でつつく。 「ひどいよ~」 私が姉に向かって言うと、姉は笑いながら、 「冗談冗談。葵はメイクしなくても可愛いよ」 「ほんと?」 「うそよ」 「もう~」 私は膨れっ面になる。 「うそうそ、ほんとに可愛いよ」 食卓につきながら、今度は真剣に答えた。 「ありがとう。素直に受け止めるよ」 笑いながら言って私も食卓につく。
/337ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加