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食卓では父の英雄がすでに座ってテレビを観ていた。
私達が食卓に付いたのを確認する。
「朝から賑やかだな」
言葉では呆れているが、顔は微笑みながら言った。
「だって、お姉ちゃんが私にモテないって言うもん」
今にも泣きそうな仕草をして父に訴える。
「心配しなくても葵は可愛いよ」
少し考えてから満面の笑顔で私に言った。
「もう。あなたったら」
母が食事を並べながら呆れた顔で割って入る。
「すまん」
見てのとおり父は少し…いやだいぶ娘の私達に甘い。
その分、母は厳しい。
そして父はそんな母に弱い。
すぐさま姉が父に反抗する。
「先に葵が私に酷い顔って言ったんだよ」
「朝の雫の顔はひどいぞ」
笑いながら父が返す。
「パパまでひどいよ。パパは葵に甘いよ」
そう、父は娘二人でも私のほうに昔から甘い。
「そんなことないよ」
父の言葉に、そんなことあるよと内心思いながらも、おおらかで優しい父を微笑ましく思う。
そんな父を私も姉も大好き。
「もとが綺麗な顔だから、いいじゃないか」
父は怒ってる姉を宥めて(なだめて)いる。
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