逆の表す効果

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くだらない会話をしながら 川沿いを歩く。 …──街並みが、紅に染まっている。 「暑かったな、今日も。」 「…まぁ、梅雨前だしな。」 部活帰りなのだから 余計に、だろう。 「キレイだよな、空って。」 ──ん?……なんか、コイツ。 柔らかい笑顔と共に。 「めんどかったよな、今日の数学。」 「お前……」 何?って 首を傾げる山本。 「喋り方、きめぇ...」 「気づいたか、やっぱ。」 ドカッ!! いつもと違う話し方。 なんだか 気持ち悪いような 恥ずかしいような。 変な気持ちになって 左足のふくらはぎの辺りを 蹴ってやった。 「痛ぇんだってッ、足。」 それでも その話し方をやめる気はないらしい。 「筋肉痛なんだよな、多分。」 ──…へぇ。コイツにも“筋肉痛”とかあんのか。 「マジうぜぇ…」 「そっか?」 「なんか、じれったいっつーか...」 「“とーちほう”って言うんだぜ、これ。」 ──そんぐれぇ知ってるっつの。 「つか、“倒置法”な。」 今日の最後の授業… 確か 国語の時間に。 先公が言っていた気がする。 「どっか行こうぜ、今度。」 「…ん。」 小さく、短い応え。 「なぁ、獄寺」 隣に俺がいるくせに、 俺に話しかけているくせに。 まっすぐ前を見て。 だから 返事をするかわりに 山本の横顔を覗いた。 1つ大きく、深呼吸。 息を吐くのと同時に 山本の表情が和らいだ。 「なぁ、獄寺」 「だからなんだよ。」 「好きなんだ、お前が。」 ──────… “倒置法”なんて。 そんなの… ──反則だ。 -end- →
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