序章

2/3
327人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
空は綺麗な茜色に染まった夕暮れ時、カラスはカァカァ鳴き、みんなが家に帰っていく時間。俺はそんな時の空を見ていた。それも道路のど真ん中、薄れゆく意識の中で。 なぜこんな事になってるかと言うと、まぁ簡単に説明したら跳ねられたのだ。 ベタな話だまったく、横断歩道に居眠り運転のトラックが突っ込んで来てて、そこを小学生が一人で渡っていた、近くを学校帰りに通っていた俺は勝手に体が動いてその子を助けて数メートル跳ねられたって訳だ。 多分跳ねられてまだ1分も経ってないと思うが、周りがガヤガヤと煩い。 救急車がどうだの轢き逃げがあっただの。おいそこ写真撮るな、なんてもう言う気力も無く俺は瞼を閉じた。 特に顔も良くないし頭も良くない、彼女もいたことないし…なんか良いことのなかった人生だな…… まぁ最期に見た景色は茜色の空。 それだけはなんかかっこいいじゃないか……。 駄目だ、もう意識が保てないかも……あぁ……。 と意識を失っていく中で俺は不思議な感覚がした。 体が宙に浮くような感覚。これが死の感覚なのか…。 と俺は意識を失ったと思った瞬間に意識がまい戻ってきた。感覚としては眠くてうつらうつらしてるときに急に睡眠に入り首がカクってなって目が覚めるあれに似ている。 地に立っている感覚は無く宇宙にいるような無重力空間、目を開けてみるが真っ暗で、より一層恐怖を引き立てるような空間だった。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!