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「沖縄にしようか北海道にしようか悩んでるの」
「…………はい？」
明美が口の端をヒクッと強張らせた。
「二人で旅行に行くの、９月の３連休に」
未歩がほぅっと幸せな溜め息をつく。
隣から送られてくる冷たい視線には気づかないらしい。
「でも９月は台風に当たるかもしれないし、やっぱり北海道にしようかなぁ」
「未歩、何回も行ってるじゃん」
未歩は良家のお嬢様なのだ。国内外問わず、様々な地へ家族旅行へ行った事を明美はよく知っている。
が、未歩は大まじめに答えた。
「家族と行くのとじゃ全然違うよ！ 正悟と一緒なら近所のコンビニでも幸せ～」
「……もう勝手にしてください」
両手で頬を包んで笑顔を浮かべる未歩とは対称的に、明美はげんなりした顔をしていた。
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