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父は茶化す事なく言葉を続けた。
「正悟くん、いい機会だから経営学について学んでみないかね? 君ならすぐに身につくと思うんだが」
「……はぁ」
肯定も否定もできずに苦笑いを浮かべていると、父が核心に触れてきた。
「何度も言うが、君には期待をしているんだよ。まだまだ未歩との付き合いは浅いが、もし君さえその気になってくれるなら、いつかは……と願っているんだ」
「ありがとうございます」
2人が婚約をしている事は、もちろん父も快諾済みだ。
そして『いつかは』の後の言葉に含まれているのは、結婚という意味だけではない事も知っている。
正悟は資料を手放しアイスコーヒーに口をつけた。
2滴のミルクを入れ忘れたせいか、少し苦い。
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