プロローグ

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人は恋人や家族が出来れば、大体がこう言う話になると思う。  二人の馴初めは何か?  語られるのは人によって幾つかの形はあれど、それは当たり障りの無い、出会い、惹かれ合い、そして結ばれる。  単純だけど、幸せな過程の話。  人はそれを話しながら、からかわれたりしながらも、恥ずかしそうに頬をあからめて話を続ける。   何処にでもある幸せな物語を……。  だけと――俺と彼女の出会いは少し変わっている。  もし誰かに話しを求められても素直に話すのははばかられる。  普通の人は職場なり学校なりで知り合い普通に恋愛するだろう。  だけど……あれは今思い出しても何故そうなったのか、また俺はどうして順応出来たのか理解できない程、それは不可解な出来事で、普通とは逸脱した話だ。  良い機会だから、この場を借りて少し昔話をしよう。  あれはそう、ある仕事帰りの、ベタに雪は降っていなかったが、それなりに肌を凍てつかせる冬の夜。  何時もの冬の夜。でも、蓋を開けてみれば、それは普段の、それまで過ごした冬とは。  すべてが違っていた。
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