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それからというもの、俺は週に一度は一条家に行き、雲雀に稽古を付けてもらった。
稽古と言ってもただ撃ち合うだけで何のアドバイスもない。そして最後にする真剣勝負でいつも負かされる。しかも一撃で。
「手応えが無さすぎるのも考えものですね、よく漫画で強い敵が主人公にハンデのようなものを与える気持ちがよく分かります」
「て、てめぇ……」
最近になって気づいた。雲雀の敬語は相手を怒らせることにも一役買っていることが。
だが、今日に限り雲雀は俺に、
「あなたの剣術は確かに素晴らしい……ですが、あなた自身、自分の技を本当に理解しているのですか?」
とアドバイスのようなことを言ってきた。
「……どういうことだよ?」
そんな俺の問いを雲雀は無視して、
「あなたは誰かに自分の技を教えた……もしくはアドバイスしたことはありますか?」
と訊ねる。それに対し、俺は以前謙之助に言った台詞をそのまま言うと、
「……ぷっ……」
物凄く嫌な笑い方をされた。しかもわざとらしく。
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