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「優勝おめでとう、お前スゲーよ!神条一門に勝つなんてよ」
そう俺に話しかけるのは、佐々木 謙之助。大会が始まる前に会ったばかりなので名前は覚えていた。今思い返すと俺の最初の友人である。
「そんなに凄いのか?神条一門って……確かに他の流派より強かったけど大したことないさ」
この発言も今となっては恐ろしいものだったが、この時の俺は敗けを知らず、言葉の選び方も知らなかった。
ちなみに神条一門とは剣術に優れた九つの家の総称である。
「や、やめろって……とにかく大人達の試合を見に行こうぜ」
三条だったか七条だったか、神条一門のおっさん方が近くにいたのだろう。謙之助は俺の背中を押して大人達が試合をやっている場所に向かう。
大人達の試合は20歳以上であれば年齢不問の実力勝負で、ちょうど決勝戦が行われるところだった。
そしてこの時出会ったんだ……一条鳥閃流と共に、立ちはだかる相手を一閃で薙ぎ倒す、一条家当主・一条雲雀と。
もっとも俺が一方的に見ただけで出会いとは呼べないが、これが俺の変化のきっかけであったことは確かだった。
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