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「なぁなぁ、オレにお前の技教えてくれよ」
「嫌だ、つーか自分の流派にプライドは無ぇのかよ……第一“教える”ってゆうのが嫌だ」
表彰までの時間、しつこく言い寄ってくる謙之助にそう答える俺。
「なんでだよ?」
「教えるってことは自分の持ってるものを相手に渡すってことだぞ?なんでそんな自分に不利になることをしなきゃいけねぇんだよ」
あぁ、この言葉からとりあえずひねくれ者だということは分かっただろう。更に続けて俺は言う。
「欲しいものは自分で掴み取る、信じられるのは自分自身……無人島での金が役に立つか?愛や恋なんて他人を気にかける感情は必要か?俺はそうは思わない」
そんな俺の熱弁っぷりに謙之助は呆れながら、
「じゃあ人を好きになるのは無駄ってことか?」
などと訊いてきた。これに俺は頷くと謙之助は、
「勿体ないな」
と遠くからコチラを見ている女子達を見て呟いた。
それから表彰式は恙無く終わり、解散が言い渡される際……事件は起きた。いや、正確には俺が起こしたんだった。
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