越えたい人

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「なぁ、俺と勝負しねぇか?」 表彰式が終わった後に俺が雲雀に放ったこの言葉は会場をざわめかすには十分な効果を持っていた。 この俺の怖いもの知らずの態度に、 「生意気な」 と言う声と、 「面白い」 と言う声が次々と上がる。すると雲雀は模擬戦用の木刀を取り出し、 「構いませんよ」 と静かに答えた。 ・ ・ ・ 勝負の内容はどちらかが降参と言うまで続くもので、得物は木刀。 向かい合った瞬間に俺は理解した……自分の愚かさを。 「あなたに失礼のないように全力を出させていただきます」 そう言って左手で木刀を持ち、右肩に刃の腹を乗せて構えるのは一条鳥閃流。そして言い様のない殺気。 「くっ……やあぁぁっ!」 その雲雀から放たれる気に潰されないように俺は気合いを入れ、 「“十景の三・夜桜”」 俺の十八番である技を雲雀に放った。それに対し、雲雀はただ一言、 「“一閃”」 そう呟いた。 そして、 俺の目の前は真っ暗になった。 .
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