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「……んっ……ここは?」
「起きましたか?良かった、少し心配したのですよ」
目を覚ました俺の視界に入ってくるのは雲雀の顔。そして分かったのは、この時俺は雲雀に膝枕をされていること。
「俺は……負けてねぇ」
完全に覚醒すると同時に蘇る意識を失う前の記憶。そして雲雀から離れる。
「……あなたは何を恐れているのですか?」
意地を張る俺に対し、雲雀はただ俺を見つめ、問う。
「恐れる?はっ、いきなり何を言って……」
そう答えようとしたものの、真っ直ぐ見据えられた雲雀の眼に言葉が詰まる。
「嘘をつく必要はありません……強がる必要もありません。もう一度訊かせて下さい、あなたは何を恐れているのですか?」
その雲雀の言葉はどこか優しく、どこか暖かく、理由もなく……ただ信じてしまったんだ。
一条雲雀という人を。
そして俺は話せる限りのことを話した。
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