8人が本棚に入れています
本棚に追加
「すっきりしましたか?」
「……うるさい」
一頻り泣いたところで雲雀はそう言う。それに俺は恥ずかしくなり、そっぽを向いて答えた。
・
・
・
そろそろ帰ろうと帰り支度をしていると、雲雀が車で送ってくれることになった。
その車中、
「もし良かったらウチに来ませんか?ご両親の許可は取ってますから」
と雲雀からの誘いが入る。
「え、あぁ……うん」
少し考えた結果、俺は承諾の返事をした。
「それは良かった……私の夫が是非食事をしたいと言っておりまして」
その言葉に軽い衝撃を受けた。それに感づいたのか、雲雀は意地悪な笑みを浮かべ、
「あら、私が結婚していること……ショックでしたか?では今晩は失恋したあなたのためにご馳走を作りましょう」
なんてことを言う。
「う、自惚れんな……はぁ、アンタのキャラがいまいち掴めねーよ」
試合では凄まじい殺気を放ったかと思えば、思いやりがあり、優しい一面を覗かせ、今のような憎たらしい一面もある。
今日1日での俺が持った雲雀の印象は“不思議な人”だった。
.
最初のコメントを投稿しよう!