越えたい人

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「すっきりしましたか?」 「……うるさい」 一頻り泣いたところで雲雀はそう言う。それに俺は恥ずかしくなり、そっぽを向いて答えた。 ・ ・ ・ そろそろ帰ろうと帰り支度をしていると、雲雀が車で送ってくれることになった。 その車中、 「もし良かったらウチに来ませんか?ご両親の許可は取ってますから」 と雲雀からの誘いが入る。 「え、あぁ……うん」 少し考えた結果、俺は承諾の返事をした。 「それは良かった……私の夫が是非食事をしたいと言っておりまして」 その言葉に軽い衝撃を受けた。それに感づいたのか、雲雀は意地悪な笑みを浮かべ、 「あら、私が結婚していること……ショックでしたか?では今晩は失恋したあなたのためにご馳走を作りましょう」 なんてことを言う。 「う、自惚れんな……はぁ、アンタのキャラがいまいち掴めねーよ」 試合では凄まじい殺気を放ったかと思えば、思いやりがあり、優しい一面を覗かせ、今のような憎たらしい一面もある。 今日1日での俺が持った雲雀の印象は“不思議な人”だった。 .
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