ラプンツェル

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あの日からあたしは あたしを捨てた 「…お前の両親は死んでしまったんだ…これから私がお前を育ててやるからね」 小さいあたしは『死』がわからなかった でもあたしのおばあちゃんは言ったの 「今日からお前の名前はラプンツェルだよ」 そう言っておばあちゃんは高い高い塔にあたしを閉じ込めました 「お前を守るためなんだ…ラプンツェル、いつか私のかわりにお前を守ってくれる者が訪れる。それまで…それまで我慢しておくれ」 あたしは、その日からあたしを殺しました ―――――――――――― 眩しい太陽が照りつける日のこと 俺は城から抜け出し森を散歩していた 「毎日毎日、同じことばっか言いやがってクソ親父が」 自分で言うのもなんなんだが 俺はこの国の王子だったりする 最近誕生日を迎え、18になった そのため、俺の親父 この国の王が嫁をもらえと五月蝿く言うのだ それがうざったくなり、城を抜け出した 「あっちー…森の中だってのにこの暑さ…」 パタパタと手で扇ぎながら奥へ奥へ入っていく 小さい頃から立ち入りを禁じられてきたこの森 なんでも魔女が住み着いているらしい
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