雨模様

3/4
前へ
/102ページ
次へ
玄関を見てみると、やはり若林の靴がなかった。 だが、傘立てには傘が2本。 若林は傘を持たずに外へ出たらしい。 俺は傘を一本持って家を出た。 若林は家を出て直ぐの所に居た。 勿論、雨で全身ずぶ濡れである。 「傘もささずに何してんだ? こんなに濡れて、風邪でも引いたらどうするよ。」 俺はそう言いながら、自分の傘に若林を入れた。 若林はゆっくりと顔を上げて、俺の顔見た。 「若林、お前泣いてただろ?」 「.....泣いてねぇーよ、ばーか。」 「嘘はいかんね、若林。 春日にはお見通しだよ。」 雨に濡れているから涙は確認出来なかったが、若林の目は微かに赤くなっていたから、泣いていたのは直ぐに分かった。 .
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

341人が本棚に入れています
本棚に追加