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玄関を見てみると、やはり若林の靴がなかった。
だが、傘立てには傘が2本。
若林は傘を持たずに外へ出たらしい。
俺は傘を一本持って家を出た。
若林は家を出て直ぐの所に居た。
勿論、雨で全身ずぶ濡れである。
「傘もささずに何してんだ?
こんなに濡れて、風邪でも引いたらどうするよ。」
俺はそう言いながら、自分の傘に若林を入れた。
若林はゆっくりと顔を上げて、俺の顔見た。
「若林、お前泣いてただろ?」
「.....泣いてねぇーよ、ばーか。」
「嘘はいかんね、若林。
春日にはお見通しだよ。」
雨に濡れているから涙は確認出来なかったが、若林の目は微かに赤くなっていたから、泣いていたのは直ぐに分かった。
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