愛言葉

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「貴ちゃん、大好きやで。」 俺はそう言いながら、やっと此方に顔を向けた井本を後ろから抱き締めた。 「もうなんやねん、いきなり。」 「別にええやん、いきなりでも。 貴ちゃん、大好きやー。」 俺はそう言いながら、井本の首元に顔を埋めた。 井本は少し擽ったそうにしたが、離れようとはしなかった。 手が出なかったということは、どうやら今日は機嫌が良いらしい。 「俺はお前なんか嫌いや。」 口では嫌い、なんて言うてるけど、それは照れ隠しで。 井本は何時も逆の意味の言葉を並べる。 その証拠に、井本は言葉とは裏腹に今も俺の腕の中である。 .
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