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俺の手は自然と枕許の携帯へと伸びていた。
電話帳を開いて『春日 俊彰』の文字を眺める。
起きてんのかな、彼奴。
まぁ、寝てようが俺には関係ないけど。
俺はそのまま通話ボタンを押した。
1コール、2コール、3コール......。
やっぱ彼奴寝てたのかな?
起きろよ、ばかすが。
もういいや、切ろう。
そう思った瞬間、春日が電話に出た。
『.....もしもし?
どうしたよ、こんな時間に。
明日も仕事でしょうが。』
「......か、すが。」
春日の声を聞いた途端、俺は安心して気が緩んだのか更に涙が溢れてしまった。
その所為で、上手く言葉を紡げなかった。
俺が名前を呼んだ瞬間に、電話口の向こうの空気が変わったような、そんな気がした。
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