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『今、どこに居た?』
「......家。」
『今行く、待ってろ。』
春日はそう言って直ぐに電話を切ってしまった。
「ちょっ、かす....が。」
1人呟いた言葉は、誰にも届かないまま夜の闇に溶けた。
春日の声が聞こえなくなった途端に不安が押し寄せる。
「......かすが。」
名前を呼んでも、返事がないことは分かっている。
それでも俺の唇は、その名を紡いだ。
暫くすると、春日が家に来た。
俺が泣いているのを見て少し驚いていた。
俺は何時も、春日に弱さを見せなかったから。
春日は何も言わずに優しく俺を抱き締めた。
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