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「鈴木さん、婚約おめでとう御座います。」
「ありがとう御座います!」
俺が祝福の言葉を掛けると、満面の笑みでそう答える鈴木さん。
自分の大切な人が、大好きな人が幸せになる。
鈴木さんが幸せなら、俺も幸せ。
そう思いたいけど、俺はそこまで綺麗な人間じゃない。
どうしても心から喜べない。
本当は『おめでとう御座います』なんて言いたくない。
今まで、鈴木さんのことは誰よりも分かってると思ってた。
でも、きっと俺の知らない鈴木さんを彼女は知ってるんだろうな。
それが、嫌で嫌で堪らない。
悔しくてしょうがない。
胸が締め付けられる程に、辛く哀しい。
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