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さてと、周りをぐるりと見回すと、親戚や学校の友人たちがずらりと雁首をそろえている。
「おい、なんで死んだんだよっ! この馬鹿野郎ぉぉぉ!!」
僕の遺影に向かって友人のひとりが叫ぶ。
「武田、マジで済まないと思っている。お前とは一番仲が良かったし……」
数多の友人の中でも、特に仲が良かった武田ケンジに対し、僕は頭を下げた。
アイツとはどっちが先に彼女を作るかって賭けをしていたり、一緒にバンドをやろうぜって約束もしていたし……。
「僕の姿は見えないんだったなぁ……」
そういえば、今の僕は幽霊だ。そんなわけで武田に僕の姿が見えるはずもないんだ。
「ああ、悲しい気分になるよ。せめて武田……お前にだけでも、せめてお別れを告げたかったよ」
俺はいずれ霊界に逝くんだ。その前に親友の武田にだけは、さようならを告げたいよ。
しかし、姿が見えないんだじゃどうしようもない。
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