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まだ燃えている家。
家の辺りを漂う異臭。
家の庭で紅い服を着て眠っている少女。
そのどれもが少年の知らない絵だった─。
数日前、少年は母に頼まれて父と買い物に出かけた。
それだけだった。
それなのに─。
車は坂を上っていく。
少年は家へと導く道を車内から眺めていた。
すると景色が全く変わらなくなった。
｢どうしてとまったの？｣
応えは返ってこない。
それどころか父は息子の方を見向きもせず、ただ一点を目を見開いて見つめていた。
｢煙……？｣
ようやく返ってきた単語に少年は意味が分からない。
｢煙がどうしたの？｣
しかし父はいきなり車のトランクをゴソゴソとし始めた。
ようやく車内へ戻ってきたかと思えば、物騒なものを手に持っていた。
それは時折父が少年に見せてくれるものだったので少年はちっとも驚かなかった。
｢なんで銃とナイフ？｣
少年にはもはや父が何をしたいのか全く分からなくなっていた。
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