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少年はただ突きつけられたモノを見つめていた。 持っていた銃は取られ、車内に転がっている。 そしてナイフは男のポケットの中だった。 男は携帯で仲間に連絡をとっていた。 「死んでた。ああ、奴の仕業だろ。あとガキが1人いたぜ」 男は少年の頭に銃口をつけた。 「どこの子供だ?」 少年は応えない。 すると男は舌打ちしたかと思うと銃で少年の頬を殴った。 少年の口から血が出た。 奥歯が一本折れたのだ。 普通の少年ならすぐに泣き出すのに少年は泣かなかった。 本当は泣く気力さえなかった。 男は少年を見て眉をひそめた。 「まあいい、調べればすぐに分かる」 男はまた電話に戻った。 「おい、この近くに奴の息子以外に10歳くらいの少年が住んでいないか調べろ」
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