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タタン
タタン
不規則な振動。
寝てしまっていたのか、などと考えながら前に流れている髪をかきあげる。
流れる風景。
楽しそうな談笑。
何時間も電車に乗りっぱなしなので、正直お尻が痛い。
でも、わがままなんて言ってられない。
これも一応任務なのだから。
今日は村への視察。
これがまた遠いところで、昨日の夕方寝台車に乗って、今朝村に着き、調べ、夕方に乗り込み今にいたる。
視察の時は黒の服だと目立つのでオフホワイトのショートコートを羽織っていた。
そして今も羽織っている。
髪を隠すためと言っても良いのだが、真っ黒の服だと喪服と間違えられてしまうからだ。
「車内販売です、何かいかがですか?」
車内販売の女性が声を掛けてきた。
そう言えば、乗車してから全く食べ物も飲み物も喉を通してない。
軽く何かとるか。
「すみません。
紅茶とサンドウィッチを下さい。
あ、領収証出来たら下さい。宛名はシュゼッタでお願いします」
「かしこまりました」
テキパキと領収証を書き、値段を記す。
私は財布からコインを出して支払い、商品と領収証を受け取る。
「ありがとうございます」
丁寧に頭を下げてまた歩き出す。
私は財布をカバンに入れ、紙袋の中から紅茶のペットボトルとサンドウィッチを出して、もらったおしぼりで手を拭く。
いざ、大好きなチーズハムレタスサンド。参る。
今、一口かじるかかじらないかと言う所で、私は一気に不快になった。
一般の人には聞き覚えがないだろう、この音。
ガウンッ!
ガウンッ!
そう、銃声だ。
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