…任務…

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    「…勝手に殺さないで欲しい‥ねッ!」 引き金を引く指に力が籠もる。 周りの悲鳴と、目の前の男の両方に言ったのだが、解って貰えてないだろうな、などと考えながら言葉の最後を言う頃には男の右肩後ろへ半身より入り、背後に移動して、男の右肩に手を置く。 そして、囁くように 「抵抗しなければ、痛くはしません」 と小さく言って笑う。 男は冷や汗を流しながら、目だけで私をとらえようとこちらを見ている。 そんな無駄な努力しなくて良いのに。 まぁ、無理もないでしょうが。 「てめっ………っ!」 抗議か何かをしようとした男が言いよどんだ。 そして、一点を見つめ目を見開く。 男の目には氷のオブジェとなった銃と自分の腕。 「…ぁ、あぁぁあぁあぁああぁ!!」 膝を崩し、地に付く。 顔には驚愕。 声は悲痛。 「てっめぇ!」 仲間の2人が苛立ち、銃口を向けてきた。 だが、私はブレスレッドに手をかざして床に手を付く。 すると割れるようなパキパキといった音が男たちの足元へ向かって発せられる。 音はやがて氷となり足元から上がって、膝で止まる。 「なっ、なんなんだよッ」 男三人が困惑しながら言う。 私はその声を無視して立ち上がる。 そして、にっこりと笑う。 「形勢逆転…ですよねぇ」 楽しそうに笑う笑顔。 「じゃぁ、三人とも、おとなしくしてくださいね。 雪祭りに出されたくなければ」 この言葉を聞いて、3人は銃を投げ捨てる。 その様子をはらはらしながら見守っていた乗客は呆気にとられる。 少女1人が、男3人を圧倒させ、制圧した。 しかも、氷を使って。 「車内販売のお姉さーん。 結べるもの有りますか?」 にこっと、年相応の笑顔を浮かべて問いかけた。 顔が整っているからか、笑うと見惚れるくらい綺麗に笑う。 少女の名前は、 アイシャ。
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