1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふふっ・・・・。まーだかな~。」
一人の男が、いかにも楽しそうに、いまかいまかとわくわくした表情を浮かべる。
たが、その男は普通の男とは、見るからに違う。
整ったその容姿は、黒い髪に混じる赤毛を引き立たせ、瞳は金色に輝き、その周りを黒い星のタトゥーが飾る・・・。
妖しくも美しい。
が、彼はまさにピエロのような格好をしていた。
「マスター。またここへいらしていたんですか?」
マスターと呼ばれた男は、ふり返る。
「ふふっ、ファントム。来たの?」
ファントムと呼ばれたその男は、静かにほほ笑み、メガネをうっすらと上げる。
純白になびく長い髪は一つに束ねられ、紳士的な気品は、知的さをものがたる。
「ええ、あなたを探しに・・・。そんなに見つめても、早くは覚醒しませんよ?」
マスターが眺めていたそれに、そっと手をおく。
(ドクンッ・・・ドクンッ・・・ドクンッ)
「でも、こんなに鼓動がひびいていると、わくわくしてね。」
うっとりとマスターはそれを眺める。
「1000年も待ったんだ。もうすぐだよ、イヴ。」
二人の悪魔が動き始める。それに気付く者は、誰ひとりいない。
運命の輪も・・・
ゲームもすべてが動き動き出す。
[コトン・・・]
中の物がわずかに動く。
マスターやファントムが眺めるそれは、巨大なタマゴ・・・・・・。
最初のコメントを投稿しよう!