あの時の二人は

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『ビールの後のコーヒーもいけますね』と栗本さんが言った 『ホントですね』 時々猫が擦り寄ってくる この公園の猫は人間を怖がらない 『もうすぐ6月終わりですね。7月の始めって栗本さん、仕事のあと時間ありますか?』と私は聞いた 『ええ、作りますよ。今急ぎの仕事もないし…じゃあ7月1日なんてどうですか?』 『じゃあその日に居酒屋でご馳走させてもらいますよ』 『いいのかなぁ』と栗本さんが笑った 『お礼です』 『じゃあありがたくおごられます』と頭を下げた 周りからみたら恋人同士に見えるだろうな。栗本さんとなら満更でもない 楽しい休日もあっという間だ。私はアパートに戻り、銭湯に行く用意をした 銭湯の湯舟に、ふやけるまで浸かっていた 風呂上がりにフルーツ牛乳を飲んで、マッサージチェアーでくつろいだ そしていつもの居酒屋に 中に入ると既に時任君がビールを飲んでいた 私は隣に座ると生ビールを注文した 『風呂帰りか?』今日の時任君に毒はなかった 『そう、結構くつろいできたよ、どうしたの?今日は元気ないね』 『そうかな…他人がみたらやっぱり元気ない?俺は俺なりに平静にしてるんだけど』 私は惣菜を3品頼んだ 『平静すぎるかな…なんか勢いがないっていうか…』 『…いまさ、彼女とすごく悪い雰囲気なんだ』 『彼女いたんだ。喧嘩でもした?』 『してないよ。ただ…結婚の話しでたから、考えてはいるけどもう少し待ってくれって言ったんだ』 『考えてるならいいじゃない』 『待ってって言葉が気に入らなかったのか、結婚なんて考えてないんでしょ?ってさ。それから会っても口聞いてくれないし、メールや電話まで拒否だよ…今日なんか会いに行ったら、話す事ないだって…まいったね~こりゃ』 『結婚のビジョンがしっかりしてたのかもしれないね。なんで待ってなんていったのよ』 『今仕事が立て込んでいるのと、実家のお袋が入院してるんだよ』 時任君はビールを飲み干すとまたお代わりした
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