あの時の二人は

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『おばさん、どうしたの?』 『子宮ガンってやつ。まあ初期で見つかって、子宮全摘出してまだ入院してる』 『大変だったね。それあったから中々頭も回らなかったんだ』 『命に別状なかったから大丈夫なんだけど…そのことも彼女には話したんだけど、マザコンだって言われた』 『ええ!』 『親の病気心配するのはマザコンとかなのか?』 『論外だよ~!病気も病気だしさ…でもせっかく結婚の話しまででたんなら、彼女に機嫌直してもらわないとね』 『女って何してあげたら喜ぶんだろな…よくわかんねぇ』 『まあ…思い出の場所でまたデートしてみるとかさ、サプライズでプレゼントするとかかなあ…単純すぎる?』 『俺もそれは考えてみたよ。でも誘ってもでてきてくれないのに…』 『じゃあ彼女の会社で待ち伏せは?』 『待ち伏せ…』 『どっちみち話し合わなきゃいけないんだもの。それしか方法ないんじゃないの?』 『そうだな…明日にでも行ってみるか』 『頑張って結婚しなよ』 『お前が言うな。崖っぷちが』 『今日から時任真樹也応援団長になるよ』と私は笑った 私は惣菜を突きながらまたビールをお代わりした 『まだメールできない?してみたら?』 時任君は携帯を取り出すとメールを打ち始めた でも返信はなかった なんとなく…私は見てられなくて、先に居酒屋を出た 恋愛って大変…とくに結婚絡んでくると一人の考えじゃなくなってくるもんね 私みたいな立場一番楽かもしれないな… ベランダの洗濯物を取り込むとベットに置き、一つ一つ畳んでたんすにいれた 日曜日もこれで終わりだな~と私はパジャマに着替えた
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