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『どうしたの?急に』と栗本さんは、少し素っ気なかった
『いろいろ謝ろうと思って…私、意地はって生意気な態度とってたし…すぐ反論したりしたから。ごめんなさい』
『こっちこそ…いろいろうたぐって悪かったよ。マヒルの事知りたいのと、あんな男に惑わされた自分が恥ずかしかったんだ…』
『なんか…前みたいには中々戻れない…』と私は泣いた
『少し距離置きすぎたのかな…俺達』
『リセット…しようか?これから大事な仕事もあるし、その間だけでも。仕事終わって、気持ちが今と同じなら、友達、仕事仲間でいましょう。でも一緒にいたい気持ちがまだあるなら…』
『わかった、そうしよう』
『じゃあ私帰るから…』
『うん…仕事頑張ろう』
なんか…呆気なく私と栗本さんの時間は終わってしまった
銭湯の中で泣いて、家に戻ってまた泣いた
明日は明日の風が吹く
なんとかなるし、なんとかしてみる
でも昔の恋愛みたいな苦さはまったくなかった
仕事で栗本さんと顔は合わせるものの、お互い気まずさはなかった
とにかく今目の前にあるものを完成させる目標は同じだから
時任君も時々現場にくる。私がお母さんの事知ってるのも会社で聞いたみたいだ
『心配かけてすまん!』
『水臭いんだから…その間に私もいろんな展開あったわよ』
『結婚でも決まったか』と時任君は笑った
『まさか!その反対。別れちゃった』
『まさかあの話しが彼氏の耳に入ったのか』
『そんなとこね。で、ぎくしゃくしてさ』
『ばっかだな…お前ら』
『ホントだね。この馬鹿と今晩、あの居酒屋行きますか?』
『いつでも行ってやるよ。愚痴きくぜ』
『私も、いろいろ話し聞くよ』
その夜は、二人閉店間際まで居酒屋にいた
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