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私が東京に戻ってきたのは梅雨入り初日の日だった
一日休みをもらって、部屋を掃除した
そして初めて修二を私のアパートに招待した
『居心地いい部屋だな…なんか癒される』
『だって…大学卒業してからずっと住んでるんだもの…』
『なんだか俺の新しいマンションに越すの…淋しいんじゃない?』
『大丈夫よ…修二いるし』
『マヒル…これ』と修二は私に小さな袋をくれた
中には小箱がはいっていて、開けると指輪がキラリと光っていた
『これって…』
『一応…婚約指輪のつもり。安物で悪いけど気持ちだけね』と彼は笑った
私はゆっくり左手の薬指にはめてみた
『すごい…ピッタリよ』
『仕事はしてていいよ。無理しない程度に。だからもう一度言う、結婚してください』
『はい、私でよかったら』
二人きりで婚約のお祝いをした
その後はお互いの両親に紹介したり、会社に報告したりと結構忙しかった
時任君に報告したのは落ち着いてからである
『よかったな。ルパン三世もいよいよ銭形警部に捕まったか』と大笑いしていた
『結婚式呼んでくれよな、同級生代表でさ。俺の事もいろいろ心配してくれてありがとう』
『時任君いなかったら、私達こうなってなかったよ…こっちこそありがとう』
『女のハートってのは鎖や鉄で固めるのはよくない。いくつになってもマシュマロみたいなポワポワの柔らかいハートでいなくちゃ』
『ホントだね、よくわかった』
『ところでよ、名古屋の支社に可愛い子いてさ…』と時任君の恋の話しが始まった
なんとなく上手くいきそうな気がした
話してる時任君の声のトーンはピンク色だった
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