01 夢見る魚

2/6
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
ピアスを開けようと思った。先生の左の耳たぶで、密かに光る銀色。私も同じように、左耳にだけ開けようと。 学校帰りに寄った、ピンク色で包まれたファンシーな雑貨屋で、ピアッサーというものは売られていた。 樹脂タイプ、やら、ロングタイプ、やら、やたらと種類が多い。それらは皆一様に小さな石が付いていて、どうやら誕生石で分けられているようだった。 どれを選べば良いのか分からず、私はしばらく売場で立ち尽くした。みーちゃんに電話して尋ねようか、と思ったけれど、彼女は基本的に面倒臭がりで、電話はおろかメールさえも好まないのだった。電話をしても出てくれないという最悪のパターンが頭をよぎり、結局、取り出しかけた携帯をスカートのポケットに押し戻す。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!