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次の日、学校で私はみーちゃんに、ピアスを開けたい旨を伝えた。お昼ご飯のときで、みーちゃんは飲むゼリー(正式に何と言うのかよく分からない)をコンビニの袋から取り出すところだった。みーちゃんのお昼ご飯はいつもそれで、貧血になったりしないのだろうか、なんていらない心配をしてしまう。ただでさえ、ひどく細身なのに。
「へぇ、ついに早苗もピアス開けるんだ」
「うん、あのね」
「分かってるよ、山内でしょ」
みーちゃんは、私が山内先生を好きなことを知っている。
机の上に投げ出された、派手にデコレーションされた携帯が震えた。みーちゃんはそれを手に取り、おそろしく速いスピードで文字を打ち始めた。
みーちゃんの両耳には、いくつもピアスが連なっている。どれも銀色で、ドクロとか薔薇とか十字架とか、何だかゴシックなものばかりだ。それは、彼女の好きな、いわゆるヴィジュアル系バンドの影響らしい。
せわしなく動く親指を目で追いながら、ふと思えば私は、みーちゃんが開けているピアスの数を、正確には知らないのだった。
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