01 夢見る魚

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「ねえ、みーちゃん」 みーちゃんは携帯をいじる手を止めて、こっちに視線だけ向けた。 「なに?」 「みーちゃんって、ピアス何個開いてるの?」 「十個」 十個! 私は絶句してしまった。そんな私の様子を見て、みーちゃんは口の端を上げてにやりと笑う。 「耳たぶに三個ずつ、軟骨に二個ずつだよ。案外ハマるんだよね、穴開けるのが」 さらりと恐ろしいことを言ってのけ、みーちゃんは携帯を閉じた。私はお弁当箱の中の、最後まで取っておいた卵焼きを口に入れる。 「つーかさ、早苗、自分で開けれんの?」 「ん、うーん……怖いけど、頑張ってみようとは思ってる」 「ふーん。ま、化膿しないよう気を付けろよ」 みーちゃんはゼリーを飲み終わり、それをごみ箱へ放り投げると、大きなポーチを持って立ち上がった。 「化粧直してくる」 お弁当箱を鞄へ仕舞いながら、私は教室を出ていくみーちゃんの、赤いメッシュが入った長い髪をぼんやり眺めていた。
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