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「ねえ、みーちゃん」
みーちゃんは携帯をいじる手を止めて、こっちに視線だけ向けた。
「なに?」
「みーちゃんって、ピアス何個開いてるの?」
「十個」
十個! 私は絶句してしまった。そんな私の様子を見て、みーちゃんは口の端を上げてにやりと笑う。
「耳たぶに三個ずつ、軟骨に二個ずつだよ。案外ハマるんだよね、穴開けるのが」
さらりと恐ろしいことを言ってのけ、みーちゃんは携帯を閉じた。私はお弁当箱の中の、最後まで取っておいた卵焼きを口に入れる。
「つーかさ、早苗、自分で開けれんの?」
「ん、うーん……怖いけど、頑張ってみようとは思ってる」
「ふーん。ま、化膿しないよう気を付けろよ」
みーちゃんはゼリーを飲み終わり、それをごみ箱へ放り投げると、大きなポーチを持って立ち上がった。
「化粧直してくる」
お弁当箱を鞄へ仕舞いながら、私は教室を出ていくみーちゃんの、赤いメッシュが入った長い髪をぼんやり眺めていた。
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