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卒業式の日、リナに呼び出された。
リナに声をかけようと、もじもじしている男子が数名居たようだが、リナの視界には入っていないようだった。
「卒業おめでと~♪」
ほんわかと言われたので、
「あり、おめぇ」
と返してみた。
『うふふ♪』と笑うリナはとても幸せそうだ。
ひとしきり笑うと、リナはスカートをぽんぽんと叩いて、居住まいを正した。
そしてアタシの方を真っ直ぐ見つめると、
「今日は、ユカちゃんにお礼を言います!」
と高らかに宣言した。
「どうしたのよ、急に」
今度はアタシが苦笑する。
「わたしね、ユカちゃんが居なかったら、今日、卒業できなかったかもしれないから」
それからリナは、今までアタシの存在をどれだけ心の支えにしていたか、アタシのことをどれだけ憧れていたか、などを熱心に訴え、あの男子の告白の時、アタシが居なかったら登校拒否になっていたかもしれないとも語った。
「ずっとずっと前から、わたしはユカちゃんに助けられてばかりでした」
「いいって、別に……リナとアタシの仲じゃん」
真っ直ぐ熱心に気持ちを語られて、アタシは照れくさくなって言葉を挟んだ。
そんなアタシに、リナは首を横に振り「言いたいの。だから言わせて」と言葉を続けた。
「まだわたしには何も無いけど、いつかは何かでユカちゃんを助けられるようになるから……」
気持ちを高ぶらせすぎたのだろうか、ちょっと涙目になるリナを見つめ、アタシは次の言葉を待つ。
「いままでありがとう!
これからも、これからもずっっっと仲良しでいてください!」
リナに似合わない、暑苦しくて力強い言葉だった。
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