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「……なんだ、改まってそんなこと!
そんな風に思い詰めて、お願いなんてしなくたって、アタシ達は『親友』でしょ?
大学卒業しても、結婚しても、おばあちゃんになっても。
ずっと仲良しだよ!」
アタシはそう答えると、リナと握手しようと手を伸ばした。
う~ん、青春っぽいなぁ。なんて考えていると、
瞳に溜まっていた涙を少し零しながら、リナはアタシの手を取り……今まで見たことが無いような力強さで、グイっと自分の方に引き寄せた。
アタシは完全に不意を突かれて体勢を崩す。
唇に何か柔らかいものが触れた。
「嬉しいっ♪」
リナは『えへへ』と笑うと、
「帰ろっ」
と何事も無かったかのように言った。
ボーゼンとするアタシの手をガッチリ握ったリナと、握られて引っ張られるままのアタシは、通い慣れた通学路を通って、家に向かう。
ゴキゲンなリナを家まで送り届けた後、自分の家にふらふらと帰りつき、ベッドに仰向けに倒れ込んだアタシは、唇を指でなぞった。
「え~っと……『親友』だよね……?」
アタシは、アタシのファーストキスを奪った幼馴染の顔を思い浮かべながら、その後もしばらくボーゼンとしていた。
リナの触れた唇を舌でなぞると、なんだか甘い味がするようだった。
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