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数メートル先も見渡せないような濃い霧の夜。小さな町の教会の前から、逃げるように走り去る人影が二つ。
そして、二人の去った教会の前には、小さな赤ん坊が入った籠が一つ取り残されていた。
だが、籠に入った赤ん坊には、どう考えても普通の赤ん坊にはあるはずのないものがあった……。
それは、小さな白と黒の翼だった。
白い翼は、見るもの全てを癒し、魅了するであろう美しい輝きを放ち、黒い翼は見るもの全てに畏れを抱かせるであろう、不気味な輝きを放っていた。
だが、赤ん坊はそんな事など気にもせず、籠の中で安らかに眠り続けていた……。
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