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シュウとタケルが帰ると、鈴が拓馬を家まで送ることになった。
「私の出番はこれくらいしかないな。心配しているご家族に事情を話してくる。先生として出来ることがこんなことなんて情けないな」
「そんなことないよ。鈴さんは頑張ってた。
ただ俺がでしゃばり過ぎたから…」
「それで良かったんだね。もっと踏み込むべきだった。
私は、人を否定したり、小さく逃がすことばかり考えて、なにも動けなかった。ごめんなさい、ありがとう」
今度は隆也と柚梨奈に頭を下げる。
「鈴さん、そんなこと…!」
「私、怖かったんだと思う。
高原くんたちのこと。昔を思い出して、小学生なのに、自分の生徒なのに怖がってた。
だから私自身、向き合えなかったし、拓馬くんを向き合わせようともしなかった。だけどあなたたちは違った」
その怖がる気持ちは柚梨奈にもわかる気がした。
どうしてもつきまとう苦手意識。
だけど隆也にはない。
それでいて、イジメをされた方の痛みも柚梨奈を通して理解していた。だから動けた。
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