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「ねぇ柚梨奈ちゃ~ん」
「うるさーい。その話はもう終わり~」
シッシッと柚梨奈は肩に置かれた手を払う。
今日は拓馬と約束をしている。
2人で待つ間、先日の「大好き」発言の意味をもう一度見直し、改めてちゃんと言って欲しいと、しつこく迫る隆也を軽くあしらっていた。
「ちぇ!普段だと好きも愛してるも全然言ってくれないし、柚梨奈ってあれだよね。ツンデレってやつだよね」
「はぁ?」
「でもいいよそれー。
ツボを押さえてくるっていうか、威力倍増っていうか、振り回された後のご褒美感がたまらん」
「振り回してるのはそっちでしょ」
そう言うと隆也は「へ?」と意味の全く分かっていない顔をする。
自覚がないのか、とちょっとイラつく。
そうこうしていると拓馬がランドセルを背負って笑顔で走って来る。
「隆也ー。柚梨奈ちゃーん」
「おかえり拓馬くん」
「そういえばなんで俺呼び捨て?」
そんなことには答えずに、拓馬は今日あったことを話しだす。
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