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「え?」
私はその状況をすぐさま判断できなかった
一緒に車から降りた部長は、状況を把握したのか
車から、アゾートを取り出す
それと同時に、黒い外套の男は晴彦の腹を蹴り、吹き飛ばし、彩香は首を捕まれていた
そして彩香の首を折ると、後ろへ投げ、晴彦へと歩き始める
車からアゾートを取り出し終えた部長が何か私に言っている
しかし、何を言っているのかわからない
外の音がまったく聞こえない
完全に放心状態の私に部長は話しかけても無駄だと判断したのか
すぐさま、外套の男の前に割って入る
男は、腕を上げ部長に攻撃するが、アゾートで防御する
アゾートは折れることなく、男の攻撃を防ぎ、部長は反撃に出る
アゾートを構え、様々な方向に振る
小さいとはいえない、大剣からは想像が難しいほどの早さだ
しかし、晴彦の居合いに比べると、格段に遅く、晴彦の攻撃を物ともしない男にとっては、止まって見えるだろう
現に、男は部長の攻撃を避けていた
あたらないと判断した部長は、声を荒げて言う
「制限解除!」
この頃には、意識も戻りつつあった私は、部長が言った言葉が耳に入ってきた
部長が言う制限解除というのは、アゾートの本来の力を発揮させるための合言葉のようなもので
普段は、全開の力だと手加減できないとの事で制限をかけているらしい
その制限を消すための言葉だった
部長が振るうアゾートからは、微かに光が出ていた
さきほどと変わらない速度でアゾートを振る
速度は変わらないので男は、軽い動きで回避する
しかし、男から身体からは、様々なところから出血していた
「!」
男は微かに表情を変える
そして、私は始めて男の声を耳にする
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