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「き・・・さま・・・」
頭上からあごにかけて、斜めに切断された頭部が声を上げる
「まだ、話せるほどの力はあるのか」
「きさ・・・ま・・・いったい・・・何者なんだ?」
俺は、刀を振り上げる
「ただの、廃れた殺人鬼さ」
刀を振り下ろし、頭部を破壊する
声は聞こえなくなり、男の肉片は砂のように消えていった
「ふう・・・さて皆は・・・」
周りを見る
死体と砂の人形は崩れて消えていた
術者である男を倒したことにより術が解けたのであろう
「お~い大丈夫か?」
皆に近づき安否を確認する
「皆無事だぜ」
晴彦が答える
「この程度朝飯前ね」
「ですよね」
彩香と光二も答える
「そうか」
ザザ・・・
ノイズが聞こえ美香の声が聞こえる
「皆さんお疲れ様です。数十分でそっちに着きますんで、待っててくださいね」
「わかった」
俺が返事をすると、無線は切れ声が聞こえなくなる
「聞こえたようにもう少しで迎えが来るから待・・・ッ!」
言い終わる前にすさまじい威圧感を感じる
皆も感じたのか、その方向を向く
そこには、黒い外套を羽織る白髪の男がいた
「なんだあれは・・・」
明らかに人間の形をしているが、一目見ただけでは人間と判別できなかった
なぜなら、この世にこれほどの殺気を放つ者が存在するとは思えなかったからだ
コツコツコツと男は、こちらへ歩を進める
あれは明らかに俺たちに害を及ぼす者だと身体が判断し、日本刀を取り出し戦闘の準備に入る
皆も武器を取り出し戦闘隊形に入る
黒い外套の男は、牙を見せ笑う
「皆死ぬなよ!」
俺の合図と共に戦闘が開始した
男は、あせることも無くただ歩を進める
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