カマドウマ

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さて、ラブホテルを出てもう二度と話をすることもなくなった彼女と別れた僕は夜の海に行って、車の中でレディオヘッドのKID Aを聴いていた。 夜の海は膨大な汚水を称えた水溜りのようだ。汚水の水溜りは汚いけれども全てを許してくれる気配を持っている。 オオサカベイブルースの方が似合いの音楽だったのかも知れないけれど、僕の車にそのCDはなかった。 狂ったような多重録音のトムヨークの声が頭の中をかき回してくれるままにしていると、ズンッという重いものが乗った感覚があって隣を見ると助手席にに巨大なカマドウマが座っていて「ヨォ」と言った。
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