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「北見のお母さん、凄く良い人だな。」
「あ~そうかぁ~?人使いが荒いクソババァだっつの。客の前だからあんな顔してるだけだっつの。」
「そうか。」
そう言ってまた香川は笑う。
「・・・・お前さぁ。」
「ん?」
「・・もっと笑えばいいのに。」
「・・・・何でだ?」
ふと思った疑問を香川に言ったら、逆に香川に質問されてしまった。
な、なんでって言われても・・・
そ、そりゃお前・・・
「笑ったお前も・・・悪くねぇから、かな。」
「・・・・笑ってるつもりだったんだが・・・」
「は!!?あれが笑ってるつもりかよッ!!ほぼ無表情じゃねぇかッ!!笑ってるとしても不気味だったし・・・おれ多分お前がちゃんと笑うの初めて見た気がするぞ!!?」
「そうなのか・・・だったら多分、北見だからなんだろうな。」
「・・・は?」
「北見だから、おれは『ちゃんと』笑えるんだろうな。」
そう言ってまた笑う。
な、なんだよそれ・・どういう意味だよ・・・
いや・・なんとなく分かってる・・・
自惚れてる訳じゃねぇけど・・・コイツはおれが好きだから、こんな表情を普通におれに向けてくれる・・んだと思う。
きっとコイツがちゃんと笑ってくれるのは、おれだけなんだと・・思う。
「・・・・ッ!!!」
「なんだいきなり口塞いで・・・気持ち悪いのか?」
「い、いや違ぇよ・・・ッ!!!」
やべぇ・・・口元が緩みまくる・・・・ッ!!!
すげぇ喜んじまってるよおれ・・・・ッ!!!!
(はやく静まれおれ―――ッ!!!)
「おい本当に大丈夫か――――・・・」
――ビリッ
「・・・・へ?」
「あ・・・・すまん。」
いつまでも口元から手を離さないおれを心配して香川が手を伸ばした瞬間、香川が着てるおれのシャツの脇下部分が音をだして破れた。
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