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「ばか芋!私そんなの食べるわけないじゃん!毎回変なのばっか持ってくるなよなあ」
大げさに溜め息を吐く太子を無視して僕は法隆寺の中へと入った。
「はい、お茶」
太子は僕の目の前に湯のみをおく。
「ありがとうございます」
「普通こういうのって妹子がやるんだよね。あれ…私聖徳太子だよね?」
「そうなんじゃないですか」
あほな太子の言葉を軽く長しながら僕は太子の顔をじ、と見つめた。
やはりどこか悩んでいるような、葛藤しているように僕には見えた。
「ねえ太「あのな」
見事に遮ぎられ、僕は口を閉じる。
申し訳なさそうに僕の方をちらちら見ながら、それでいてモジモジとする様子が腹立たしい
「なにかあるならはっきり言ってください」
「……怒らない?」
「えぇ、怒りません」
「嫌いにならない?」
「まぁ、多分なりません」
「ショックかもよ?」
「かまいま…ってか早くしろ!」
「う、分かったよ」
「……」
「私実はね」
「はい」
「女なんだよ」
「あぁそうですかやっぱり下らな……………え゛?」
あまりに恐ろしい事実に僕は固まった。
今。
なんて言った?
「た、太子…あの…今なんて」
ありえないくらい上昇する心拍数。
太子は少し俯きながら言った
「だ、だから…私ほんとは女なんだって」
「…………」
嘘だと、だれか言ってくれ頼む。
このカレー臭だが加齢臭だかするオッサンが…女?
「…ほ、本気ですか」
「じゃなかったらこんな緊張しないよ」
「………」
「あ、なんなら確かめるっ?」
太子はそういって自分のジャージの中に手をいれると何やら包帯を抜き取る
「ま、まさかそれ」
「さらしだよ」
まっ平らのそこに現れたのは大きな山が2つ。
太子が女性であることを確信させる動かぬ証拠がそこにはあった。
僕はあまりの衝撃で眩暈がした。
今まで太子が女とも知らずにキスされ、付き合ってたのか
「なぁ、嫌いになった?」
太子が不安そうに聞いてくる。
いいや、むしろ逆だ。
だって
「すみません太子。……実は、僕も女です」
その直後、太子の驚愕の声が響き渡ったのは言うまでもない。
(終)
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