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「秋那のことが?」
意外ではあったが、俺の中に驚きはなかった。秋那は、恋人だからだとか、そういった風な色眼鏡を抜きにして見ても可愛い。だから、彼女に好意を寄せている野郎がいるのは想像に難くなかった。むしろ、泉堂ほどの表立った人気を博していないことが不思議で仕方なかった。
「ああ。俺さ、飾磨が転校してきた時からずっとあいつに惹かれてたんだ。全然話とかはしたことなかったんだけど、ずっと見てた。んで、最近になって樋渡と飾磨のこと耳にしてさ。もういてもたってもいられなかったよ」
情けなく苦笑いする福本の横顔を、見ることができない。間違っても同情なんかじゃない。むしろ、こちらの方がいたたまれなくなってしまった。
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