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その日は朝からうだるような暑さの日だった。北海道にしてはこの時期のこんな暑さは珍しい。
「あ、あ暑ちぃ…今日は練習を止めておじさんのところへ行こう」
地区大会が一週間と迫り、北陵高校の野球部員たちは汗を流していたが、蒼空は歩実の父に鍛えてもらいに行くことにしたのだった。
ちょうど北海道神宮祭ということもあり、歩実の父の経営する整骨院も休みなのだ。蒼空は飛び起きるとすぐに自転車に乗って整骨院へと向かった…
「おはようございます。おじさんはいますか?」
蒼空は整骨院へ着くと、元気よく挨拶して到着を告げた。
「おう、来たか?メシは食ったのか?」
「あ…いいえ。まだですが」
「じゃあ、上がって食ってけ。練習はそれからだ」
「はい、お邪魔します」
蒼空が歩実の家で食事をするのことは、恒例となりつつある。
「おはよう、蒼空君」
「おはよう、歩実ちゃん」
蒼空がテーブルに着くと歩実は味噌汁を飲み干すところだった。
「お兄ちゃんまた来たの?」
歩実の弟の亮が憎まれ口をたたいた。
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