波乱の予感の紅白戦

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「何をやっていたんだ。清原、答えてみろ?」 「試合です」 清原はムスッとして答えた。 「どうせお前たちに有利にやっていたんだろう。スコアを見せてみろ」 近くにいた歩実は先輩に教えてもらいながら書いた、スコアブックを差し出した。 「ん?これは何だ?何を刺されてるんだ。牽制死だと…おい、原田。どういうことだ?」 「いえ、あの…倖田が,牽制球を投げるとは思わなかったもんで」 原田主将はしどろもどろになって答えた。 大澤監督は辺りを見回して言った。 「倖田って誰だ?」 大澤監督はまだ1年の名前を覚えていなかったのだ。 「ぼ・ぼくです」 蒼空はおずおずと答えて前に出た。 「お前はピッチャー経験者か?原田を牽制球で刺すとは?」 「あっ、いいえ、小学生の頃に少し…」 「ちょっとこっちへ来てみろ」 「はいっ」 蒼空が大澤監督の前に立つと、監督は蒼空の両肩の筋肉の付きを触ってみた。 「お前はどっち利きだ?」 大澤監督は蒼空に鋭い視線を向けた。  
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