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「そうさ。ぼくが来た方が亮君も食欲が出ると思ってさ」
蒼空は笑いながら笑顔を向けた。
広志が再び席に着くと蒼空に言った。
「今日辺りそろそろ投げて見るか?」
「えっ?いいんですか?」
蒼空は驚いて広志の顔を見た。
「ああ、始めよう。蒼空も投げたいのによく辛抱したな」
「はい」
いよいよ蒼空の第一歩が始まる。蒼空は嬉しくなった。
「あたしも練習休んじゃおうかな…」
歩実は笑って舌を出した。
「大丈夫?部活行った方がいいんじゃないの?」
「いいの、いいの。あそこにはマネージャーが三人もいるんだから、仕事の取り合いになるわ」
歩実は麦茶を一口飲んで澄まして蒼空に答えた。
「よし、そうと決まればメシを食ったら河川敷へ行こう」
「はい」
蒼空は歩実の母、あゆ子の出してくれた朝食を美味しそうに食べ始めた。
河川敷に着くと広志は竿を出し始めた。創成川でフナ釣りを始めるつもりなのだ。
「蒼空、十分にアップしとけよ」
「はい」
テングスにおもりを付けながら広志は言った。
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