投球フォームを完成させろ。

4/22
694人が本棚に入れています
本棚に追加
/776ページ
歩実も蒼空に付き合ってアップを始める。ストレッチや柔軟体操がメインだ。それも広志が考えたメニューだ。メニューはピッチャー用の体操ということになっている。 「アップが終わったら、走り込みだ。ピッチャーはスタミナが基本だからな」 「はいっ」 広志は蒼空に声をかけると、竿を二本持って川の方へ向かった。 「あははは…お父さん、釣り始めちゃったね?」 歩実は笑いながら蒼空に声をかけた。 「うん、おじさんっていろんな趣味があるんだね?すごいなぁ」 蒼空に変なところで感心されてしまった。 「でもね、あたしたち子どもたちにしたら、遊んでもらえなくてつまらないのよ」 「一緒に行けばいいじゃん。釣りも面白そうだよ」 「釣りが面白い?うふふふ…男の子の発想ね。女の子にしたら退屈なのよ。一度行ったけどもうこりごり」 「おじさんもこりごりだろうね?」 「えっ?何か言った?」 歩実の言い方が怖く感じた蒼空は慌てて否定した。 「いや、何も言ってないよ」  
/776ページ

最初のコメントを投稿しよう!