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「うそ、あたしの悪口を言ったでしょう?こら、蒼空!」
「何もだよ」
蒼空は歩実に捕まるのが嫌で逃げ出した。
「こら待ちなさいよ」
「嫌だよ」
2人は童心に返って鬼ごっこをした。
「はっははは…疲れた」
蒼空は走り疲れて草むらに横たわった。
「あたしも疲れたわ」
歩実も走り疲れて草むらに横たわった。蒼空と並んで大の字に寝転んだ。
「……」
「……」
2人ともしばらくは無言で空を見ていた…
「ねえ、蒼空って誰が付けた名前なの?」
「蒼空?オヤジだよ。それがどうかした?」
「お父さん、どういう気持ちで蒼空って付けたのかなって思って…」
「あははは…空が好きだからじゃないの。知らない」
蒼空は笑いながら言った。
「あたしは蒼空って名前好きだな。ただの空じゃなくて蒼が付くじゃない?あたし曇り空より青い空が好きだから」
「ぼくも歩実って名前嫌いじゃないよ。一歩、一歩前進って感じで前向きな名前だから…」
「ありがとう」
歩実は真っ赤になりながら返事をした。蒼空に告白された訳ではなかったが、名前が好きと言われて嬉しくなったのだ。
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