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「蒼空、左のバッターボックスに立つんだ。ただ打つ練習だけではないからな」
「はい」
蒼空は広志の指示に従って素直にバッターボックスに立った。
西部ライオンズの帽子を被った松崎の人形がボールを投げ込んでくる…
左の打席ではあまり打ったことのない蒼空は空振りした。
「バットを水平にして構えろ」
「足は少し振り上げて…」
広志の細かい指示が飛ぶ。蒼空は従順に従っていた。
初めは空振りばかりだった蒼空だったが、徐々にタイミングが合ってきた。ボールが前に飛ぶようになってきたのだ。
「いいぞ、そのタイミングだ。だんだん合ってきているじゃないか?」
広志に誉められ蒼空は嬉しくなった。しかしそれもつかの間のことだった。
「ちょっとトイレに行ってくる」
そう言い残して広志は行ってしまった…
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